田中整体療院

トピックス(健康関連)    

「体温計一本でできる健康管理」のポイント抜粋(2017.03.10.)

  

甲状腺機能の低下は、アメリカにおいて現在では人口の40%に起きていますが、これは次の10年間では50%の“新人種”に広がると予測されます。新人種とは今日、登場中の甲状腺機能が低下した人々です。   
幸いなことに、極度の甲状腺機能低下症は稀にしかありません。しかし、軽度あるいは中程度の低下は極めて多い状況にあります。そして、その結果起きる症状は、肉体的変化まで起こすことはありませんが、様々な症状を起こし、それは一見、甲状腺の働きとは何の関連もなく見えたりします。しかし、それだけでなく、その症状や兆候には、見かけ上は正反対なものも含まれています。例えば、ある患者ではがさついて荒れた髪になるのに、他の患者では髪の美しさを生む、多くの患者は寒がりになるのに、少数の患者は暑がりになる、といった具合です。   
人によって様々な違う症状として発現することが理解されていない限り、症状の背後にある原因が甲状腺機能の低下とは思いつきません。   

  

●甲状腺とは何か   
甲状腺はそのホルモンの分泌を通じて、体の酸素利用効率、様々な器官の働き具合、体温などをコントロールしています。甲状腺ホルモンが体の働きや他の器官の働きに与える影響は、信じられないくらい広範囲で、且つ重要なものです。   
甲状腺は、成長のプロセスにも重要な役割を果たしています。甲状腺の働きが欠如したり、正常なレベルよりもずっと低い働きしかしない場合には、成長も成熟も起こりません。   
甲状腺機能が低下していると骨折も治りにくくなります。   
神経組織の正常な働きや神経の正常な反応にも甲状腺ホルモンは不可欠で、甲状腺機能の低下状態では神経の反応は遅くなり、精神や頭脳の働きも低下します。   
筋肉の健全さも甲状腺ホルモン次第なので、甲状腺機能が低下すれば筋肉の働きが鈍ったり、筋肉組織の中に脂肪が溜まったりします。   
甲状腺と他の内分泌腺の間には相互の連関関係があります。例えば顕著な甲状腺機能の低下状態では、性腺の働きにも影響して性的な発達を遅れさせたり、性機能の低下、性欲の喪失といったことも起きます。甲状腺機能の低下した女性は、生理のトラブルが頻繁に起きます。   
ところで、甲状腺を切除すると、水、塩分、タンパク質が体内に過剰に蓄積されます。また血液中のコレステロールの値は上昇します。つまり、腎臓、肝臓などの臓器とも深いつながりがあることを示しています。   

  

●甲状腺機能低下の症状   
甲状腺機能の低下では、疲労が主な症状であり、基礎代謝など標準的な検査で甲状腺機能低下症と診断された患者の98%は、疲労が主訴であると指摘しています。その程度は重度から軽度まで様々です。この疲労はゆっくりやってきます。体のエネルギーのレベルが突然低下するような現れ方はしません。そのために自分では、それがノーマルな状態だと思ってしまいます(貧血が多くの異常な疲労の原因になるのは事実ですが、甲状腺の働きが悪いと、貧血の原因になることは、しばしば見落とされます)。   
その他、頭痛、片頭痛、心身症、多動症、ニキビ・湿疹・荒れ肌・冬季掻痒症・うろこ肌・狼瘡・乾癬など多くの皮膚症状、生理のトラブルや不妊、高血圧、リウマチ、痛風、糖尿病、低血糖症、心臓病、肺ガン、肺気腫などなど。   
他の人々よりも風邪その他の感染症によりかかりやすい、またひどく、かつ長引いたり、中耳炎に繰り返しかかるというのは、甲状腺機能の低下を示すサインになりえます。   
  
*ニューヨーク市記念病院の神経精神科医M.スコーン博士の研究によれば、本当の   
神経症患者は、自分の具合が悪いのは周囲の人間や状況が悪いせいだとして自分   
以外のものを責めるのに対し、甲状腺機能が低下した患者の場合は、すべて自分   
の責任だと考えると報告されています。   
*ノースカロライナ大学のP.C.ワイブロー博士らは、甲状腺機能が低下しているこ   
とが分かっている神経症患者たちを調べたところ、これらの患者のほぼ全員が、   
最近の出来事の記憶や集中することが難しいと訴えていました。また彼らは、   
ドルとセントを数える簡単な計算も難しかった。   
もちろん甲状腺機能の低下症だけが、診断が難しい精神症状や心身症的症状の全   
ての原因になっているわけではありません。しかし、甲状腺機能が低下すると非   
常に多くのいろいろな症状が起きるということを知っておかねばなりません。   

     

●甲状腺機能の検査法(基礎体温測定法)   
明らかな原因がないのに、体がだるくてどうも体調が思わしくない、風邪を引きやすい、アレルギーがあるなど、長年気になっている症状があれば、基礎体温を測ってみるといい。   
用意するものは、書くまでもなく体温計一本だけ。時間はわずか10分。検査のやり方はいたって簡単。朝、目覚めたらベッドにいるうちに脇に体温計をはさんで測るだけです。   
男性の場合はいつ基礎体温を測っても構いません。しかし女性の場合、生理がある年齢層では、生理が始まって2,3日目に基礎体温を測るのがベストです。生理の始まる前の年齢の女性や閉経後の女性は、いつ体温を測っても構いません。バーンズ博士の診断基準は以下通りです。   
36.8度より高い ⇒ 甲状腺機能亢進の疑い   
36.5~36.8度  ⇒ 正常   
36.5度より低い ⇒ 甲状腺機能低下の疑い   
  
なお、基礎体温の検査も、甲状腺の働きを示す完璧な検査法ではありません。体温が低くなる理由は甲状腺機能の低下以外にもあり、例えば飢餓、脳下垂体や副腎の働きの低下などもあります。しかし、飢餓か否かは簡単に分かりますし、甲状腺機能の低下の場合には他の症状からそれが判断できます。単純な検査ですが、甲状腺機能の低下を診断するために注目すべき正確さを持っています。   

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